IGPI VOICE

コンサルタントとしての自分を超え、経営人材へ

米山 勇樹

ATAC執行役員/ディレクター(IGPI)

2017年9月入社

IGPIグループ経営

企業再生の現場で向き合った「本当の仕事」

私の仕事観の原点は、2010年から3年間在籍していた企業再生ファンドで、地方の印刷会社の企業再生を現場に入り込んで行った経験にあります。前職ではシンクタンクで大手企業や官公庁等をクライアントとしてコンサルティングを手掛けていましたが、このプロジェクトでは、徹底した現場主義を経験しました。

それまでの仕事とは違い、工場の機械のオペレーターや営業担当者といった、正に現場で業務を回している社員たちと向き合い、短期間で一気に業務改革を進めて結果を出さなければなりません。例えば「KPI」や「限界利益」といった言葉も通じないなかで、現場の社員たちに取り組もうとしていることを伝え、意識を変え、行動を変えてもらう必要があります。精緻な調査・分析や、客観的な提言など、それまで自分が仕事だと思って取り組んできたことが、リアルな経営改革の現場では全く通用せず、何もできない自分の無力さを痛感する日々が続きました。それでも、毎日早朝から工場に出勤し、現場の方たちを何とか巻き込もうと悪戦苦闘し、上司から自分の行動について具体的なフィードバックを受け続けるうちに、少しずつ私の意識も変わっていきました。常に相手のために何ができるかを考え、まず自分が行動して具体策を作り、それを現場で機能するよう行動レベルにまで落とし込む。こういう動きができるようになったところから、徐々に現場の人たちの信頼を得ることができ、改善活動も前に進むようになっていきました。
現場で働く人たちの意識や行動を変えて、数字で成果を出していくという、経営改善のリアルなプロセスを経験し、仕事に対する自分の価値観が大きく変わった気がします。

「IGPIがいなければ、できなかった」という言葉

そのプロジェクトを終えた後、一旦はシンクタンクに戻りましたが、企業再生の仕事をもう一度したいという思いが強くなり、企業再生ファンドで一緒に仕事をした上司の紹介で、IGPIへ転職しました。

IGPIでは事業構造改革・再生を軸に様々な規模・業種のプロジェクトを経験してきました。中でも印象に残っているのは、地方の交通を中心としたコングロマリット企業の再生支援です。10人程度のチームのプロジェクトリーダーとして、メインバンク等とも連携しながら事業計画の策定に取り組みました。

はじめに大幅な人員削減を前提とした計画案を示した時は、会社側は拒否感を示し、メインバンクからも「もっと抜本的な成長戦略の絵は描けないのか?」とご指摘を受けました。しかし、会社の状況や外部環境を考えれば、成長戦略よりもまず止血をし、足場を固めることが先決で、抜本策にはさらに戦略的な動きが必要というスタンスで、粘り強く会社や銀行を説得し続けました。結果として、我々の提言・支援により人員削減を進め、それを前提に銀行からも追加支援を受け、1年後には何とか事業計画通りの業績を維持できていると連絡をもらいました。「IGPIがいなかったら、このプロセスは実行できなかった」「あの時本当にやるべきことを提言し、やってくれた」と言っていただけたことは嬉しかったです。
その次も同じような再生案件を手掛けたいと考えていたところに、IGPI共同経営者の川上さんが構想していたIGPIグループとしての新たな取り組みの立ち上げにアサインされました。

ATACを立ち上げ、先端技術の社会実装をリードする

これまでIGPIグループでは、スタートアップへの出資や経営支援、スタートアップの輩出・育成に向けた産学連携、企業のR&D戦略の立案・実行など、様々な側面から先端技術の社会実装・事業化の支援を行ってきました。これらの活動を統合し、先端技術のインキュベーションを強く推進する組織がATACです。

はじめに構想を聞いたときは、まだそこまで活動イメージが明確ではなかったですし、正直自分がスタートアップの領域を手掛けることにピンときませんでした。また、仕事人生で初めての、コンサルティングとは違う「クライアントがいない仕事」です。自身の価値が出ているかどうか確信が持てず戸惑いながらも、短期間で事業計画を策定し、組織構築を行いつつ、資金調達、人材採用、技術探索等の事業活動をするという忙しい時期を1年ほど走り続けました。そうしていくうちに段々と、ATACがやろうとしていることの輪郭が浮かび上がり、私自身も川上さんの言葉を借りて色々なところで話すうちに、ATACを推進する事業主体者としての意識も強くなっていきました。

ATACがこれまでに事業化した技術シーズは、私たちがいたからこそ、このタイミングで社会実装に向けて前に進められたという自負があります。研究者の多くは、技術の社会実装に関心はありますが、自分自身が起業して経営者になろうというケースはほとんどありません。ATACでは、研究者には研究開発に集中していただき、それ以外の事業化・経営に関する機能は全てATACが提供するというモデルを確立しようとしています。直近半年だけで4社というペースで創業しており、今後も創業・経営する会社が増えていきます。川上さんからは「50社のCFOをやることをイメージして仕組みを作れ」と言われており、常識の枠を超えた発想ですが、それを可能にする経営機能の標準化・効率化の取り組みなど、既成概念にとらわれない新たな事業の形にチャレンジできることもATACの面白さの一つだと思います。

自分の枠を超えて広がるキャリア

ATACではこれまでのキャリアとは全く違う仕事をしていますが、いまは、プロジェクトの領域や自分の役割にこだわる必要はないと思っています。今の仕事にこれまでコンサルティングで培ってきた能力も生かされていますし、逆に、また企業再生の仕事に戻ったとしてもいまの仕事でのリアルな経営経験が大いに活きると思います。
コンサルタントという枠を超え、事業の立ち上げと経営に取り組んでいる自分の姿は全く想像していませんでしたし、きっと数年後にはまた全然違うことをやっているようにも思いますが、目の前の仕事一つ一つをしっかりと自分のものにしていくことで、経営人材としての足腰が日々強くなっていることを感じています。

このように、自分が抱いているキャリアイメージに対し、良い意味で、次から次へと揺さぶりをかけられる環境が、IGPIの面白いところだと感じています。自分のやりたいこと・なりたい将来像を飛び越えた可能性やチャンスが目の前に出てきて、IGPIにいながらどんどんキャリアチェンジをしていっているような感覚です。
経営という領域で自身の新たな可能性を見出そうとする方には、ぜひIGPIにチャレンジしてもらいたいと思います。

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