日本共創プラットフォーム(JPiX)のプリンシプル
日本共創プラットフォーム(JPiX)が順調な船出を果たした。2022年に製造業と医療機関を含む4件の投資を実行したほか、IGPIグループ内再編によって交通・観光事業を営むみちのりグループとの統合が成就。これら投資先に対し活発な経営支援が行われている。
ベスト・オーナー・プリンシプルは、JPiXを貫く最大のユニークネスである。自らが最良の株主である限りは、持分を恒久的に保有し続け、全力で経営を支援する。したがって、保有と経営支援は長期にわたる。腰を据えて戦略を練り上げ、企業文化に質的かつ持続的な変化を起こし、企業価値の向上を図ることが可能となる。エグジットまでの保有期間の短さを追求する一般的な投資ファンドとは、その点で明瞭な一線を画す。しかし、エグジットを否定するものではない。例えばシナジーの面で明らかに優位な事業体から買収提案を受けた場合は譲渡に踏み切るであろうし、資本市場にガバナンスを委ねた方が更に強固なサステナビリティの確保につながる場合はIPOを企図する。そうした考え方が、このプリンシプルを構成する。
事業承継を望むオーナー経営者は、自らが育成した事業を顔の見えない投資家に転売されることを嫌うし、単に設備投資を抑制して見かけのキャッシュフローを増やすような経営手法を望まない。JPiXが有力な譲渡先として好まれるのは、こうしたオーナー経営者の心理・心情に適うからである。設立以来二年の間に、JPiXには数百件にのぼる事業承継の相談が金融機関やエージェントなどから持ち込まれ、常時数件がデューディリジェンスの俎上に上がっている。
ローカル経済の活性化に資する取組を進めることもJPiXの重要なプリンシプルである。世界の安全保障環境が大きく変化し、気候変動を背景として災害の頻度が明白に高くなる状況において、国土のレジリエンスの強化と産業経済の地域分散は重要性が極めて高い。また、今後、世界的なリセッションの懸念もあり、過剰債務企業や低生産性事業に対する再生型投資の機会が増えるものと予想される。中には、複雑骨折ともいうべき重篤な状態に陥る事業体も出てくるものと予測されるが、JPiXは、必要に応じてIGPIと連携しながら、適切な財務的対処を実現し、戦略を再構築し、CXそしてDXによって事業を蘇生させ、バランスの取れた産業面の地域分散と、多極集中型社会の実現に貢献することを志向している。
現在、JPiXの最大のアセットであるみちのりグループは、コロナ禍においても財務バランスを良好に維持し、かねてよりDXを通じた生産性向上と賃金水準の上昇を進行させている。2023年9月期はEBITDAがコロナ前の7割程度にまで回復する見込みである。加えて、2022年4月にみちのりグループ入りした佐渡汽船のCXも計画通りに推移している。
最後になったが、自身のIPOを目指すこともJPiXのプリンシプルである。柔軟なエクイティファイナンスを背景とした事業経営のサステナビリティの確保と、長期出資に応じていただいた出資者の流動性確保を念頭に、IPO計画の具体化に臨む方針である。